シンポジウム「電子自治体と未来の暮らし」

 2003.07.16 於:千葉県教育会

テーマ
「電子自治体と未来のくらし」〜県民のための電子自治体とは〜

 去る七月十六日、IT (情報通信)技術を活用した電子自治体によって県民生活がどう変わるかについて考える全国リレーフォーラム「電子自治体と未来のくらし」が千葉市中央区の県教育会館で開かれた。
 昨年八月に稼働した住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の第二次稼働が今月二十五日から始まるため、会場には行政や企業関係者、県民ら約三百人が詰め掛け、実際に電子自治体推進に取り組む市川市担当者らの報告を通して、国や地方行政の情報化の展望と二十一世紀の自治体像への理解を深めた。 
 会場では、千葉大学副学長・多賀谷一照法経学部教授が「電子自治体と行政システムの変容」をテーマに基調講演。続いて「電子市町村の姿」のビデオ上映の後、総務省市町村課住民台帳企画官の高原剛氏が住基ネットの内容や、個人認証サービス、個人情報保護対策について報告。このあと、「電子自治体で変わるわたしたちのくらし」を演題にパネルディスカッションが行われた。(主催/総務省、千葉県、財団法人地方自治情報センター、千葉日報社、全国地方新聞社連合会)               

基調講演

「電子自治体と行政システムの変容」 
 千葉大学副学長・多賀谷一照教授

 行政の情報化のあり方だが、最初に行政内部の情報化が始められ、大量処理業務が行われた。それに伴うデータベースも行政内部でつくられ、それが次第にダウンサイジングした。今日ではオンライン申請、ワンストップサービスという形で行政と市民関係の情報化が進んでいる。それをトータルとして電子政府・電子自治体へと行政の情報化が進んでいる。
 行政の元来の機能は住民から一定の情報を収集し、選別や付加価値を添付してその情報を住民へ提供(フィードバック)した。ただ、フィードバックするだけでなく、何らかの形で財を再配分することにあった。
 介護保険の例では、行政の管轄区域内において要介護者がいるかどうかという情報を、行政が収集して評価する。行政の作業は要介護者の認定と、介護がどのレベルかという認定、つまり情報の評価ということになる。その結果、介護保険という形で集めている財を要介護者に再配分する。この意味において、行政の作業は情報の収集と評価、その情報の評価に基づいた財の再配分ということになる。

 情報化という公共事業とオンライン行政

 過疎地を抱える自治体では情報ネットワークの敷設、あるいは情報スーパーハイウェイ構想が打ち上げられている。これも情報づくりを基礎とするある種の公共事業とも言える。
 ものづくりという公共事業が情報に変わり、社会資本としての情報インフラの時代を迎えていると言える。
 電子自治体は一口に言えば、人が役所の窓口に来るのではなく、情報が行政機関にやってくるということ。つまり、オンライン行政の仕組みになる。
 窓口で行っている典型的業務は、様式の交付、受理・受領、各種情報の提供などだが、情報化に置き変えられる業務の検討を進めていかなければならない。情報化は、かなりの分野においてアウトソーシング(外部委託・業務委託)する形で効率化を図る必要がある。 行政と市民の間のオンライン化を考えたとき、自治体内部での情報化を高度化することが求められる。国では、申請・届け出以外の情報化として、各省庁間の人事給与関係業務情報システムの電子化、職員データベースの一元化の取り組みなども行われている。

 情報管理・セキュリティと電子自治体

 プライバシー情報とセキュリティの区別は当然のこととして、情報化が進められると文書管理から情報管理になる。情報管理は電子データを保管管理する部署で、情報の重要度による分類が求められ、情報の保存期間などの新たな問題も浮上する。情報は書き変えられるから、情報の履歴の確定についても検討が必要だ。
 教育、医療、廃棄物処理等の情報システムでは、地域の既存ネットワーク、地域管轄を超えた形で処理されている。こうした機能別のシステムが、今後、活用されていくのではないか。
 ITが進むと、地方の市町村は国や都道府県に依存するようになる。ややもすると情報技術によって市町村が監督されかねない。したがって、市町村はNPOなどの力を借りて下からの情報ネットワークの中で地域社会を構築していく必要がある。情報ネットワークを生かした機能的な行政と、NPO的団体に支えられていくのが、今後の電子自治体のあり方だろう。


パネルディスカッション
「電子自治体で変わるわたしたちのくらし」

 電子自治体の実現で地域経済を活性化

 ―「電子政府・電子自治体」という言葉をよく耳にするが、電子政府・電子自治体」とは一体、どのようなものか。IT(情報技術)を活用することで、県民の暮らしはどのように変わるのか。きょうは市町村の現状や課題、また、自治体とITの活用について討論していきたい。
 多賀谷先生に電子自治体の概念とその背景・必要性などついて伺いたい。
 多賀谷 第一は行政の情報化システムの構築になる。
 二十一世紀の行政の情報化は、行政の機能、仕組みを市民にオープンにしていく、目に見えるようにするということで、すでに情報の公開化も始まっている。
 第二にe‐Japan戦略(新IT基本戦略)の情報インフラ(基盤)について、何を乗せるかということ。第一段階では、光ファイバー、ブロードバンド(高速大容量通信)インターネットネットワークの敷設の構築にあったが、第二段階では利用計画が中心だ。二〇〇五年に世界先端のIT国家実現のために、電子政府の総合行政ネットワークシステム(LGWAN)の整備や遠隔医療システムなど先導的7分野が新重点計画として上げられているが、国民生活の利便性向上や行政の効率化のためのコンテンツ(情報内容)の提供が課題になる。
 第三の要素は、セキュリティ、安全性を考えるということ。行政は、社会における市民生活の安全性を守るということが強く求められており、ネットワーク空間における安全性も問われるだろう。ネットワーク空間では、身分の確認ということが今後は不可避になる。ネットワーク技術によるセキュリティ確保は行政の役割になるだろう。
 電子政府、電子自治体の役割は、行政の本来的機能を果たし、情報化社会の情報インフラのネットワークを支え、ネットワーク社会におけるコンテンツの提供ということが課せられる。
 ―国における電子政府、電子自治体の取り組みについて高原さんに伺いたい。
 高原 e‐Japan戦略において電子政府、電子自治体はIT革命の推進役として位置付けている。電子政府、電子自治体の取り組みと内容はホームページ等で公開し、国民と情報の共有化を進めている。住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の情報や、住基ネット調査委員会の資料も出来るだけ早く公開するように努めている。また、各省庁、自治体も工夫をして情報の提供、共有化を図っている。 
 官官手続きでは、行政と行政のオンライン化、あるいは国民からインターネットで申請を受け付けていこうということで、総合行政ネットワーク、住基ネット、公的個人認証サービスなどの共通基盤の整備に取り組んでいる。
 共通基盤の整備の中で、公的個人認証サービスの仕組みにおいてはセキュリティやコスト面の点で大きな問題が残り、最終的には住基ネットを基盤とした公的個人認証サービスや、eタックス(電子確定申告)やパスポート申請もオンライン化しようという形で、各省庁とも順次スタートしつつあるというのが現状だ。
 こうした中で、各自治体の電子申請の受付システムの整備がやや遅れている感があるので、国では共同アウトソーシング電子自治体推進戦略という事業を進めている。これは、各都道府県に一、二か所データセンターを設け、各自治体の地元のIT企業に運営を委託する形で自治体共同の電子申請窓口をつくり、安全なシステムづくりに取り組んでいる。国は基盤整備に重点を置くが、電子自治体は、各自治体間が知恵を結集して取り組んでもらいたい。
 大事なことは安全性の確保ということ。住基ネットについては、堅牢なシステムをつくっていると思えるが、市町村の庁内ラン(構内情報通信網)のセキュリティレベルが問われる。
 ITの世界だけセキュリティを構築しても問題が残る。ICカード(住民基本台帳カード)の例でいえば、カードは窓口で発行するが、そのカードに該当する本人確認の段階からセキュリティが始まっているわけだから、こうしたところから一歩ずつセキュリティレベルを向上させたい。  
 ―市川市は、昨年五月に「いちかわ情報プラザ」を開設し、いち早く電子市役所に取り組んでいる。井堀さん、その概要について伺いたい。
 井堀 市川市が電子自治体に取り組んだ背景、要素は三つ上げられる。一つは役所内部における業務改革の推進役として、新しい時代に合った行政内部の仕組みづくりのためであり、二つ目は市民の視点で行政サ
ービスを向上させる手段として進める。三番目は行政が単独で行うのではなく、市民と行政が協働でまちづくりを進めていき、地域資源、人材の共有化や情報公開を徹底するという結論に達した。そのためには、電子自治体の構築が有効と市川市は考えた。
 市税の推移を見ると明らかだが、どこの自治体も税収が落ち込んでいる。ところが、人件費等、出費はそれほど変わらない。経常収支比率も平成十年には九三・六%という危機的状況を迎えた。従来型の行政システムではどうにもならない状況に至っていた。そのため、市では職員も住民も地域全体で行政の仕組みを変えていこうという気運が高まり、電子自治体の取り組みは平成十年から始まった。
 最初の取り組みは人づくりから始まった。庁内ランもなかった。ITの有効性を認識して、情報化に活用できる人材育成を優先させ、情報化に関する人材育成 「情報化推進アドバイザー制度」や、情報化推進プロジェクトの活動を開始した。
 市役所だけの効率化を目指すのではなく、まち全体の効率化を目標とした。だから、今では市民生活圏のネットワークは、本庁や公民館、図書館などの出先公共施設間からコンビニまでつながっている。また、コンビ二は都内ともつながり、船橋市のほか周辺の自治体の公民館や大学ともネットワーク化が図られている。
 昨年五月に「いちかわ情報プラザ」を開設した。行政だけでなく、NPOの人たちや民間企業、個人の事業主もいる。さまざまな人たちがいるから、いろいろなことができると考えている。まだ実績が出ているとは言えないがこうしたネットワークをもとに、パートナーシップで進めていくことが電子自治体には必要だ。
 市川市には四つのシステムがある。一つは縦割りでなく、一か所でいろいろなサービスが受けられるワンストップサービス。市民一人ひとりに対応したサービスが行われている。二つ目はノンストップ行政案内システム。二十四時間対応でサービスが受けられる。とくに市民の安全管理の面で大きな効果を持つ。三つ目は地域サポートシステム。まちのデータベースをつくり、地域の人材や情報を活用しようというもの。四つ目は行政運営システム。市民の声を役所の中で吸い上げ、分析し、その情報を市民と共有する。市民からのメールを電子決済し、効率的な事務手続きの基本となる電子決済や文書管理システムを機能させている。
 ―NPO法人として地域住民の立場から情報化に取り組む柳田理事長に、住民から見た電子自治体とはどのようなものかを伺いたい。
 柳田 電子自治体のあり方、現在の取り組み状況を伺っていると凄いという一方で、双方向性、即時性が必要だし、ひん度の低いものが多いようにも思える。十一桁の住基コードが分かればパスポートの申請ができるが、パスポートは今、十年に一回で済むし、転入転居も一生のうちで何回するのかと思うと、バラ色のシステムだが利用度があまりないようにも思える。
 住基カードにしても多用途であるといい。四情報(氏名・生年月日・性別・住所)だけでも、もっと使えるものがあると思うが、今のシステムは総務省がつくっているため、他の省庁のシステムは機能せずに限定的なものになっている。もったいないと思う。
 市川市は、県内でも情報化の進んだ先進的な例だが、千葉県七十九市町村でも情報化の整備状況はまちまちで、かりに整備化されても職員がシステムを使いこなせるのかという懸念も覚える。
 アメリカのサンノゼ市では、建築確認申請等の授受が電子化できたことで効率化がはかれ、行政は余剰職員で市民サービスを高めるために夜間や休日の行政窓口を解放した。残業代が増えてはいけないのでシフト制を取った。行政の工夫があり、情報化されたことで生まれた人的資源の振り分けも可能になった。 
 住基ネットも「便利になるぞ」と言われるものの、転出届の手続きは出さなくてもいいが、転入は窓口に行かなくてはならない。期待することは、ユビキタス(コンピューターを使用して、いつでもどこでも誰でもが必要な情報を入手できるような環境)のように家庭のパソコンからできればいい。八月二十五日から本格的に稼働する住基ネット第二次サービスでも、そうした点は含まれていないので、早くその日が来ることを願っている。
 ―電子自治体のイメージ、あり方がつかめたと思うが、各方面から高い評価を得ている市川市の今後の取り組みと施策の展開を。
 井堀 市川市の基本的な考えは、官民の連携で情報化を進めること。民間企業、NPOと一緒に行政も連携し、市民生活に対応できる視点で仕組みづくりを行う。大事なことは、最終的には行政が仕組みづくりの責任を担うということだ。
 今後は情報公開の徹底化とセキュリティ対策、個人情報保護などの組織体制や設備・運用環境、ネットワークの教育・監視、関連する情報セキュリティの基本方針を確立していきたい。また、公的個人認証の仕組みを取り入れたり、ICカードの利用等も家庭から進化していければと考えている。
 ―柳田さん、取り組まれている地域情報化の概要と展望を。
 柳田 三つの視点でNPO活動を行っている。一つは情報インフラ▼通信(削除)▲の整備。千葉県内の中でも情報空白地域―ブロードバンド化の遅れている山武郡や夷隅郡などの地域があるので、少しでもブロードバンド化しようという研究会や事業者との連携で情報空白地域を埋めていこうとしている。
 もう一つはコンテンツの問題。行政の情報化ということに限らず、「何かそこに、何のために」という部分が欠落して、最初にインフラありきになっている。千葉県は民間レベルの情報通信インフラに委ねているが、一〇〇メガビット―光が自分の所に来たとき、何に使うのかというコンテンツがないので、コンテンツづくりのサポートを始めている。最後は情報リテラシーの向上。素晴らしいネットワークができても使えなければ意味がない。だれのために、何のために、どういうふうに便利なのかという生活者の視点を大切にして、民間の情報化と行政情報化をサポートしている。
 ―電子政府、電子自治体の構築に際して、国はどんなサポート体制を取っているのか。インフラとしての総合行政ネットワークシステムや公的個人認証、住基カードなどの位置付けを高原さんに伺いたい。
 高原 総務省としての基本的なネットワークは、LGWANと住基ネットの二本の専用回線網をつくって電子自治体の基盤とする構想だが、セキュリティの高いシステムを構築している。共同アウトソーシングを行う場合の窓口の機能も持たせていく。
 住基ネットについては、四情報で全国共通の本人確認を行うというシステムで、これを基盤に公的個人認証サービスを展開する。住基ネットの用途の多様性について指摘があったが、パスポート申請や転入転出手続きの簡素化のほかに、共済年金の現況届けが不要になり、現在、社会保険庁とも協議して各種年金制度の現況届けの廃止や、法務省とは不動産登記における本人確認なども住基ネットに置き換変えるべく協議中だ。
 ITに関しては決して縦割り行政ではなく、各省庁にも共通基盤を利用していこうという認識がある。また、住基カードについても空き領域で市町村の条令に基づいて利用してもらう予定だ。年内には百ぐらいの市町村がICカードの有効利用を図る予定。
 ―多賀谷先生、セキュリティの面での感想を。
 多賀谷 住基ネットにおいては、安全性、使い勝手の問題などさまざまなことが議論されるが、社会インフラだから住民に十分に理解されると同時に、安全性を確認しながら利用拡大を図っていくことが必要。
 セキュリティに関しては、国の説明が不十分ということもあって漠然とした不安を覚えるようだ。説明を繰り返し行う必要がある。住基ネットについては、公的個人認証サービスと失効情報の管理と連動させるシステムが検討されている。その失効情報の提供については、今後、民間の電子認証事業者にも情報提供されるシステムになるだろう。これは、ややもすれば国民総背番号制的な形で住基ネットの情報が民間にも流れる、という誤解を招きかねない。
 住基ネットと公的個人認証サービスは、民間の電子認証事業者との関係において常時接続を行うという形で情報を相互交流させるのではなく、個別的に必要な情報の更新を行い、民間から住基ネットの情報を引き出して情報を蓄積することはできないシステムと理解しているが、こうした観点からの説明が不十分だ。
 情報ネットワーク空間での犯罪も、予見性、危険を回避する、あるいは被害が発生しても、その被害は限定的であるという認識がないために、これも漠然とした不安を与えている。
 コンピューターウィルスやハッカー対策等も厳重な対策が取られていて、その意味においては被害が全国的レベルまで拡大することがないという、技術的な内容も含めて説明努力が不足しているように思える。
 ―高原さん、この点に関してご意見を。
 高原 セキュリティに対する不安だが、当初は住民へ伏せていた傾向がある。そのためにご指摘のように不安感を招いた。しかし、情報を開示することが情報化への戦略として認識を改め、住基ネットはメール機能はなく、専用のアプリケーションで通信していることや、二十四時間監視体制にあることなども伝え始めた。
 住基ネットは民間利用をさせないシステムだが、多賀谷先生が言われるように公的個人認証サービスは、行政利用だけではなく民間認証事業者の利用も可能にしているが、公的個人認証サービスを通じて四情報を提供することはない。
 ―市川市のセキュリティ対策について伺いたい。
 井堀 情報セキュリティに関してはさまざまな対応が求められるが、市川市ではどんな情報資産があるのか、その資産のリスクは何か、管理する体制と設備機器のチェックを進め、専門家と相談して作成したマニュアルも含めて仕組みづくりを行い、職員の危機管理教育も徹底させている。
 この取り組みは、国際的な規格にあったISO(国際標準化機構)のセキュリティの認証取得を目指しているもので、この秋以降の取得を予定している。また、情報セキュリティ委員会等により、住基ネットについては、いろいろな視点でチェックを行っている。住基ネットに限らず、さまざまな業務に対応すべきと考え、職員は全員ICカードの職員証を持ち、危機管理に対応したシステムで個人情報保護対策も進めていく。
 ―多賀谷先生、「電子自治体で変わるわたしたちのくらし」ということでさまざまな意見が交わされた。総括をお願いしたい。
 多賀谷 少子高齢化社会の中で、国民生活の利便性向上や行政の効率化のために情報化社会を構築して業務改革を進めるということが求められ、IT技術を用いた住基ネットと公的個人認証サービス、ICカードの役割機能が示された。
 行政の情報化と電子自治体の取り組みについては、柳田理事長は入り口段回で目に見える効果が上がっていないという指摘があり、高原さんは、省庁縦割り型の取り組みではなく横断的な形で進めており、住基システムで効率化を図り、行政改革を確実に進めていくという発言。情報化は、官民が連携してまちづくりをすることで、より機能すると市川市の先進的な事例が井堀さんから示された。
 また、NPOが行政と協働してコンテンツづくりを支援し、情報リテラシーやデジタル・ディバイド(情報格差・対立)の解消にも取り組んでいるとのコメントがあった。セキュリティ面では、住基ネットの危機対策や、さらなる情報開示の必要性も求められた。井堀さんからは、市川市でのセキュリティの取り組みや対応システムについて現況の報告がなされた。
 ―ありがとうございました。  

●プロファイル

多賀谷 一照氏
 千葉大学副学長 法経学部教授 昭和23年生まれ。東京大学法学部卒、同大学院法学研究科修了。昭和53年に講師として千葉大学に就任後、平成2年に同大学法経学部教授に就任。平成12年には同大学副学長に就任、現在に至る。専門行政法、情報通信法総務省情報通信審議会委員、農林水産省食料・農業・農村政策審議会専門員などを務めるほか、千葉県情報公開推進委員会委員長、千葉県情報化推進懇談会委員、千葉県港湾審議会委員などを歴任。

井堀 幹夫氏
 昭和23年生まれ。京都市出身。同47年市川市役所就職区画整理課2年、電算課18年、企画課7年、情報システム課4年を経て現在に至る。この間、税・住民記録・財務会計・人事など各種オンラインシステムの開発、市川市総合計画の策定、CATV会社設立、コミュニティFM会社設立、HP、庁内LAN、イントラネットシステムの構築などを担当する。※日本計画行政学会会員

柳田 公市氏
 昭和24年生まれ。埼玉県出身。「セゾングループ(株)西友」に20年間在職。店舗マネージャー、本社[SE|BUSP0RTS]、[無印良品]等の商品開発を手掛け海外生産システムの構築部門等を歴任。平成元年8月Kemel co;ltd.Hong Kong専務取締役就任。平成3年7月(有)ケイワン代表取締役就任 海外生産を行いながら、情報通信関連事業に進出。NPO法人南房総IT推進協議会NPO法人銚子IT推進協議会理事

高原 剛氏
 昭和36年生まれ。昭和59年京都大学法学部卒、自治省に入省。宮崎県財政課長、神戸市財政部長、自治省総務課理事官兼振興課理事官を経て、現在に至る。